災害のこわさは、ものが壊れることだけではありません。 ふだん見えていない依存先が、同時に止まることにもあります。

いま何を扱うか

この記事では、停電や災害のときに止まりやすいものを、次の4つから見ます。

  • 電気
  • 通信
  • 物流

避難所の選び方や、地域ごとの防災計画までは扱いません。

電気が止まると、何まで止まる?

電気は、照明や冷暖房だけの問題ではありません。

スマホの充電、冷蔵庫、給湯器、トイレの一部、マンションのポンプ、オートロックも電気に頼っていることがあります。家の中で「コンセントから先」に見えるものは、止まる候補として一度ならべておくと見え方が変わります。

電池やモバイルバッテリーは助けになりますが、何日分をまかなう道具ではなく、連絡や確認の時間を少し延ばす道具として考えるほうが現実的です。

水は蛇口だけを見ればいい?

断水は、飲む水だけでなく、流す水、洗う水、冷ます水にも影響します。

飲み水を用意していても、トイレを流せない、手を洗えない、食器を洗えないと、生活の負担はすぐに上がります。水は「口に入る水」と「作業に使う水」に分けて考えると、足りない部分に気づきやすくなります。

浴槽に水をためる、給水袋を置く、ウェットシートを持つなどは、ひとつの正解ではなく、家の形に合わせた代替手段です。

通信と物流は、どちらが先に困る?

通信が弱くなると、安否確認、地図、支払い、交通情報が取りにくくなります。

物流が止まると、水、食品、電池、薬、日用品が入ってきにくくなります。通信と物流は別のものに見えますが、どちらも「外から情報や物が届く」ための道です。

家のネットやスマホ回線が使えない場合に、紙の連絡先、集合場所、現金、少しの備蓄があるだけで、判断の余地が残ります。

つまずきやすいところ

  • 防災を「非常食を買うこと」だけにして、電気や通信の止まり方を見ない。
  • スマホが使える前提で、連絡先や地図をすべて端末の中に置く。
  • 備蓄量だけを増やして、置き場所や期限の確認を続けられない。

ここから先

家の通信がどこで詰まるかを知るには、05章「家のネットが遅いとき、犯人はどこにいる?」が入口になります。

非常時の移動や配送の考え方は、07章「移動手段って、何を基準に選ぶ?」につながります。

同居や家族間の連絡を考えるなら、09章「一緒に暮らすとき、どこを共有してどこを分ける?」で共有の範囲を整理できます。